「ニット生地を家庭用ミシンで縫ってみたい!」
「家庭用ミシンでTシャツを作ってみたい!」
「家庭用ミシンでニットソーイングに挑戦してみたい!」
という方は多いのではないでしょうか。
実は家庭用ミシンでニット生地を縫うには、コツがいります。
コツさえ知ってしまえば難しいことはないのですが、これを知らないと、せっかく作っても失敗して着れないお洋服が出来上がる可能性が非常に高いです!!!
かくいう私も、コツを知らなかったので「家庭用ミシンではニット生地は縫えない!無理だ!」と長らく考えていました。
今日は、これから家庭用ミシンでニットソーイングを始める方のために、失敗しないためのコツをまとめます。
1 失敗と成功の分かれ道はニット生地選び
ニット生地を家庭用ミシンで縫うときに、一番重要なのは、ニット生地の選び方です。この時点で選択を誤ると、もう失敗しているといっても過言ではありません。
ではどんな生地を選べば良いのでしょうか?
答えは簡単で、伸びにくい生地を選べば良いのです。
布帛(ふはく:織物の伸縮性のない生地)と比べてニット生地が縫いにくい理由は単純で、伸びるからです。
できるだけ伸びにくい生地を選べば、布帛のようにストレスなく縫うことができます。
ニット生地の選び方
まず、生地をお店で買う場合は、お店の方に遠慮せずに聞きましょう。「初めて家庭用ミシンでニットを縫いたいのですが、どの生地が縫いやすいですか?伸びにくいニット生地はどれですか?」などと聞けば、大抵は親切に教えてくださいます。
教えてもらった生地が好みでなかったとしても、「このくらいの伸縮性なら縫えるのね」とわかるので、その生地の伸縮性を参考に好みのものを選ぶことができます。
次にネット通販で買う場合ですが、「伸縮率」「テンション」といった伸びやすさに関して記載されているところをチェックしましょう。まずは「伸縮率:低」や「テンション:低」などと記載されているものを選べば間違いないです。
伸縮率やテンションが「低〜中」くらいならまだ縫えるかと思いますが、これが「高」になると、家庭用ミシンで縫うのはかなりの鍛錬が必要です。(少なくとも私は、今までたくさん試行錯誤しましたが、着れるレベルに縫えるようにはなりませんでした。)
お店の方にも聞けないし、伸びやすさの記載もない、という場合ですが、、、同じ種類の生地でも使われている素材によって伸縮性は大きく異なるので、一概には言えません。しかし、次の生地は一般的に縫いやすい場合が多いのでおすすめです。
- 圧縮ウール
- ダンボールニット
- 裏毛フリース
- スムースニット(特に柄の描いてある生地)
↓こちらの記事でご紹介した中ですと、「伸縮性:★」または「伸縮性:★★」が比較的縫いやすいので、是非参考にしてください。

2 ニット用の針と糸で縫おう
ニット生地を家庭用ミシンで縫う場合には次の2つを必ず準備しましょう。
- レジロンの糸
- ニット用の針
ニット用の糸について
まずは糸ですが、上糸にも下糸にもレジロンの糸を使いましょう。レジロンの糸は普通の糸(シャッペスパンなど)と違って、伸縮性があります。なぜ伸縮性がある糸を使用するのでしょうか?
ちょっと想像してみてください。伸縮性のあるニット生地に伸びない糸で縫ったとします。横にひっぱった時にニット生地は伸びても糸は伸びない。すると、ニットの伸縮に耐えられなくなった糸が、ブチブチと切れてしましますよね。
ニット用の針について
次に針ですが、ニット用の針を使用します。
ニット用の針は、普通の針と比べると先が丸くなっています。普通の針でニット生地を縫うと、布を編んである糸に針がささるので、生地が引っかかったり伸びたりして上手く縫えなかったりしますし、生地に穴が空く場合もあります。
一方で先の丸い針を使うと、布を編んである糸に針がささることはなく、糸と糸の間に針が落ちるので、スムーズに縫える、という理屈です。
もっと伸びる生地が縫いたい場合は?
今まで紹介した通りに伸縮性の低い生地を選び、ニット用の針と糸を使用していただければ、ストレスなく楽しくニットソーイングができます。
しかし、「伸縮率の低い生地じゃなくて、もうちょっと伸びる生地を縫いたいな」という場合もあるでしょう。その場合、基本的にはロックミシンを購入することをおすすめします。私もロックミシンの「糸取物語」を持っていますが、ソーイングの幅がぐっと広がりましたし、既製品のような美しい仕上がりになるので、大活躍しています。
とはいえ、どうしても家庭用ミシンで縫いた場合もあるでしょう。その際のコツを続けてご紹介します。
3 テフロン押さえ・上送り押さえを使う
選んだ生地の厚さによって、「テフロン押さえ」または「上送り押さえ」を使いましょう。これによって生地をすべらせ、進みやすくできます。
生地の厚さ | 押さえの種類 |
薄手〜普通 | テフロン押さえ |
普通〜厚手 | 上送り押さえ |
4 押さえ圧を弱める
押さえ圧を調整する機能がついているミシンを使用している場合は、いつもより押さえ圧を弱めましょう。
ミシンは上についている押さえと、下についている送り歯に生地を引っ掛けることで、生地が前に進む仕組みになっています。ニット生地を縫う場合、押さえ圧が強いと、生地に歯の跡がついてしまったり、生地に送り歯がひっかかりすぎてなかなか進まず、生地が伸びてしまうという現象が起こります。
押圧を弱めることで、そのような現象を防ぐことができます。
5 紙やすりを使う
紙やすりのザラザラした面を生地につけるようにして、上押さえと生地の間に紙やすりをはさみます。それでも進みにくい場合は、生地の下にも同じようにザラザラの面を生地につけるようにして挟むと良いです。このとき、ヤスリを一緒に縫わないように注意が必要です。
6 ハトロン紙やティッシュを使う
生地の上や下にハトロン紙やティッシュを敷いて一緒に縫うと、いくらか生地を伸ばさずに縫いやすくなります。ハトロン紙やティッシュは縫った跡に破ってはずします。
ただし、この方法は5の紙やすりを使う方法とは併用できません。下記にそれぞれの方法のメリット・デメリットをまとめましたので、ご自分に合った方法を選んでくださいね。
メリット | デメリット | |
紙やすり |
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ティッシュ・紙やすり |
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7 ニット用伸び止めテープを使う
縫う箇所にアイロンで接着して使います。ニット用伸び止めテープを貼ると、生地が伸びにくくなるので、きれいに縫うことができます。
しかし、貼ったところは生地が伸びにくくなるので、要注意です。伸びにくくなった上でも着れるかどうか、問題ないかどうかを必ず事前に確認する必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ニット生地を家庭用ミシンで縫うコツをまとめると、まず次の2つが大切です。
- 伸縮性の低い生地を選ぶ
- ニット用の糸と針を使う
そして、より伸縮性のある生地を使う場合のコツは次の4つです。
- テフロン押さえや上送り押さえを使う
- 押さえ圧を弱める
- 紙やすりを挟んで縫う
- ティッシュやハトロン紙を敷いて縫う
ニットソーイングが出来ると、洋裁の幅、作れるものがグッと広がりますね!是非参考にしてください。